地方公務員の副業解禁はいつから?

地方公務員の副業解禁はいつからか?
国家公務員の副業解禁も進んでいるので、期待している方も多いのではないでしょうか。

しかし、地方公務員の副業解禁にあまり大きな期待はできなそうです。

公務員の副業制限と副業解禁

公務員の副業は制限されています。
地方公務員の副業については、地方公務員法第38条で規定されています。

地方公務員法第38条で営利企業への従事等の制限として、非常勤職員を除いて、任命権者の許可を得ないで営利企業の役員等となることや自ら営利企業を営むこと、報酬を得て事業への従事や事務を行うことが禁じられています。

これに違反すると地方公務員法第29条に基づき懲戒処分の対象となります。

(懲戒)
 職員が次の各号の一に該当する場合においては、これに対し懲戒処分として戒告、減給、停職又は免職の処分をすることができる。
一 この法律若しくは第五十七条に規定する特例を定めた法律又はこれに基く条例、地方公共団体の規則若しくは地方公共団体の機関の定める規程に違反した場合
二 職務上の義務に違反し、又は職務を怠つた場合
三 全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合

地方公務員法第29条第1項

(営利企業への従事等の制限)
 職員は、任命権者の許可を受けなければ、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(以下この項及び次条第一項において「営利企業」という。)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員その他人事委員会規則(人事委員会を置かない地方公共団体においては、地方公共団体の規則)で定める地位を兼ね、若しくは自ら営利企業を営み、又は報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならない。ただし、非常勤職員(短時間勤務の職を占める職員及び第二十二条の二第一項第二号に掲げる職員を除く。)については、この限りでない。
2 人事委員会は、人事委員会規則により前項の場合における任命権者の許可の基準を定めることができる。

地方公務員法第38条

地方公務員の副業解禁への動き

この制限された状態の公務員の副業にかかる制限を緩和していこうとする動きがありました。

早い時期に合ったものとして兵庫県神戸市の新制度や奈良県生駒市の新基準の制定があります。
そうした先行事例に続き、多くの自治体で副業に関する新たな制度がつくられ、拡充されてきました。

その意味では地方公務員の副業は解禁されつつあるといえます。

しかし、これまでの副業解禁は公益的活動等が対象であって、営利活動は対象になっていません。
利益を上げることを目的とする副業については、制限が緩和されているとはいえないのが現状です。

副業解禁されたけれど統制はされている

副業解禁といいつつ、副業にかかる職員への統制はむしろ強くなっているところもあります。

以前は、任命権者の許可が不要と判断されていたものについて、許可を得ることを義務付けるものが多くなっています。
例えば、先行事例の一つである奈良県生駒市では、子どもたちへのスポーツ指導などに任命権者の許可を求めています。

運用基準が明確になるのはいいのですが、副業にできる範囲が広がったわけではありません。
副業の範囲が変わらないのにもかかわらず手続きだけが増えたわけです。

役所仕事、これが地方公務員の副業解禁の現状です。

総務省も地方公務員の副業を後押ししているというけれど

地方公務員の副業を後押しするために、総務省が通知を出しています。
この通知では、副業をしたくても二の足を踏む職員のために、許可基準を明確化して申請しやすくすることを各自治体に要請しています。

しかし、これで副業解禁が進むかといえば疑問です。

というのも、この通知の背景にあるのは、地域の深刻な人手不足です。
「障害者支援など地域活動の担い手として地方公務員の活躍が期待されている」、つまり、地方公務員は勤務時間外に地域の人手不足の埋め合わせをしろといわれているわけです。

北海道鹿部町は副業を認める基準を明確化しています。
その内容は、人手不足が進む基幹産業のホタテ、コンブ漁の手伝いなどとのこと。
人が離れていく産業に従事するように求められるわけです。

違うとは思いますが、賃金を上げようにも上げられない産業に、政治的に逆らうことができない地方公務員が動員されるということではないですよね。
ちょっと見たところ、技能実習生の扱いと似ているようですが、そんなことはないでしょう。
まさか、21世紀の日本で、そんな前近代的なことが行われるはずはないので、私の勘違いでしょう。

副業解禁で地方公務員が国家公務員を大きく先行することはない

確かに、各自治体の判断で副業が解禁されていくことがあるかもしれません。

しかし、その可能性は大きくはありません。

日本では地方公務員制度が国家公務員制度と乖離するような事態は考えにくいことがあります。

地方公務員制度を所管する総務省は、公務員制度をすべて整合の取れたものとしようとしています。
建前としては特色ある自治体を尊重するというのでしょうが、本音では独走する自治体を許そうとはしていません。
国家公務員も地方公務員も、基本的には同じにしたいのです。

地方交付税制度で手足を縛られている地方自治体が、総務省の意向に逆らってまったく独自の制度を進めていくことはできないでしょう。
自治体ができるのは、現行制度と整合が取れる範囲で、解釈で運用の幅を広げることくらいです。

地方公務員の「副業」解禁にはもう少し時間が必要

地方公務員の副業は解禁されつつあります。
営利目的ではない公益的な活動などについては、解禁された自治体が多くなっています。

しかし、許可を得てできる副業がわかるようになっただけで、必ずしも副業ができる範囲が広がったわけではありません。
また、許可を得てできる副業は、地域の人手不足を埋め合わせるようなものが中心になりそうです。

地方公務員が営利目的の「副業」をできるという意味での「副業」解禁はされてはいません。

地方公務員の「副業」解禁は近づいている?

地方公務員の「副業」解禁にはもう少し時間がかかるでしょう。

ただ、「副業」解禁への流れは止まらない、「副業」解禁は近づいているとも考えられます。

地域の人手不足は止まりません。
現在進んでいる副業解禁はそれを反映しています。

地方公務員が動員されようが、賃金を上げても人が集まらない地域を維持することは不可能です。
地域が維持できなくなれば自治体もそのままではいられません。
職員が減らされるか、賃金が減らされるか、今の公務員制度のままではいられないでしょう。

ただでさえ退職金も年金も減らされています。
上の世代が滞留していてポストが空かず、出世も困難です。
公務員が安定しているとはいえない状況にどんどんなってきているのです。

確かに、すぐに公務員の生活が不安定になることはないでしょう。
しかし、公務員も「副業」をしなければならない環境ができつつあります。
実行するかどうかは別として、「副業」の準備を進めておいても無駄にはならないのではないでしょうか。