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国家公務員の副業解禁はいつから?

国家公務員の副業解禁はいつからか?
期待している方も多いのではないでしょうか。

実のところ国家公務員の副業はすでに解禁されています。
しかも実際に副業に取り組んでいる方も出てきているのです。

公務員の副業制限と副業解禁

公務員は副業が自由にできるわけではありません。
国家公務員は国家公務員法第103条及び第104条で副業が制限されています。

国家公務員法第103条で私企業からの隔離として、人事院の承認を得ないで営利企業の役員等となることや自ら営利企業を営むことが禁じられています。
また、国家公務員法第104条で他の事業または事務の関与制限として、報酬を得て事業への従事や事務を行うためには、所轄庁の長の許可を要することが定められています。

そして、これらに違反すると国家公務員法第82条に基づき懲戒処分となることもあります。

(懲戒の場合)
 職員が、次の各号のいずれかに該当する場合においては、これに対し懲戒処分として、免職、停職、減給又は戒告の処分をすることができる。
一 この法律若しくは国家公務員倫理法又はこれらの法律に基づく命令(国家公務員倫理法第五条第三項の規定に基づく訓令及び同条第四項の規定に基づく規則を含む。)に違反した場合
二 職務上の義務に違反し、又は職務を怠つた場合
三 国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合

国家公務員法第82条第1項

(私企業からの隔離)
 職員は、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(以下営利企業という。)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、又は自ら営利企業を営んではならない。
2 前項の規定は、人事院規則の定めるところにより、所轄庁の長の申出により人事院の承認を得た場合には、これを適用しない。

国家公務員法第103条第1項及び同条第2項

(他の事業又は事務の関与制限)

 職員が報酬を得て、営利企業以外の事業の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、その他いかなる事業に従事し、若しくは事務を行うにも、内閣総理大臣及びその職員の所轄庁の長の許可を要する。

国家公務員法第104条

国家公務員の副業解禁

この副業制限に関して、円滑な制度運用のための環境整備がされています。

その動きが現れたのが「未来投資戦略2018」です。

国家公務員については、公益的活動等を行うための兼業に関し、円滑な制度運用を図るための環境整備を進める。

(「未来投資戦略2018」p.108)

政府の「未来投資戦略2018」にも明記されたことから、公務員の副業解禁が話題になりました。

これを受けて、国家公務員の副業・兼業許可について「 「職員の兼業の許可について」に定める許可基準に関する事項について(通知) 平成31年3月28日付 閣人人第225号 」が出されました。

この新たな運用は動き出しており、認定NPO法人フローレンスが国家公務員兼業者の受け入るなど、国家公務員の副業が進んでいます。

すでに国家公務員の副業は解禁されているのです。

国家公務員の副業は解禁されている?

ただ、本業のほかに収入を得るための「副業」はほとんどできないのが現状です。

人事院の承認や所轄庁の長の許可について、収入を得ることを目的とするものに対しては従前と同様の対応になっています。

上で例示した認定NPO法人フローレンスでの兼業では、兼業者はお二人とも厚生労働省入省のキャリア職員です。
詳細はわかりませんが、実質的には業務の延長、残業して出向先で働いているように見えます。
残業代を民間企業に付け替えているだけのようにも見えてしまいます。

「不夜城」厚生労働省なら当然の働き方なのかもしれませんが、働き方改革に逆行しているように思われます。

また、将来的にも「副業」がしやすくなるようには思われません。

「副業」がしやすくなるためには、制度改正が必要です。
「副業」をするのに承認や許可を求めるのではなく、届出で済むようにすべきでしょう。

しかし、そのような改正は当分の間されないようです。

次に引用したのは、第193回国会質問主意書質問第397号「公務員の副業に関する質問主意書」とそれに対する答弁第397号「衆議院議員井坂信彦君提出公務員の副業に関する質問に対する答弁書」の内容です。

【質問及び答弁の概要】

○質問
一 政府として、公務員の兼業・副業に対して、現在、また、将来的な見通しについてどのような見解を有しているのか。
二 政府として、地方公務員の兼業・副業に対して、現在、また、将来的な見通しについてどのような見解を有しているのか。
○答弁
一及び二について、
兼業の制限については、今後も現行制度の下で適切な運用が行われる必要があると考えている。

はっきりと、現在また将来的な見通しについて、「今後も現行制度の下」での適切な運用が必要と答えています。

上記の答弁があったのは「未来投資戦略2018」が出された後、「 「職員の兼業の許可について」に定める許可基準に関する事項について(通知) 平成31年3月28日付 閣人人第225号 」が出される前です。

通知で変更できる範囲での副業解禁があっただけ、制度の根本は変更しなかったわけで、それは今後も変わらないわけです。

収入を得るための「副業」が解禁される見込みは、今のところほとんどないのが実際です。

国家公務員の副業制限と運用の変更は?

副業について柔軟な制度運用がされる見込みもなさそうです。

現行制度の下であっても、実態の即した柔軟な運用がされれば望はあります。

しかし、人事院の中枢に主体的な動きも期待できそうにありません。

おもち@元官僚系YouTuberさん(https://twitter.com/ex_kanryo_mochi)のツイートです。
副業解禁とは関係しないツイートではありますが、期待が持てない実情が伝わってきます。

職員の健康すら守られず、生き残るためには退職しなければならない方も出ている状況で、それでも積極的に動かないのです。
命のかかった緊急事態で動かないものが、「副業」で動いていくとは思われません。

国家公務員の「副業」制限は続く…か?

結局、国家公務員の副業は、建前としては解禁されたことになっています。
そして、この状況が大きく変わることは当分ないようです。

公務員の「副業」の解禁は遠い、そう聞いてどう思われましたか?

副業のことは忘れて日々の仕事に戻られますか?
それとも制限にかからない範囲で準備をしますか?

副業をはじめるといっても、すぐにできるわけではありません。
知識や経験を含めて、事前に準備が必要です。

一方、社会の趨勢は副業解禁の方向にあります。
IT関連企業やサービス関連企業はもちろん、金融機関や大手メーカーでも副業を解禁する企業は増えています。

長期的に見れば公務員にも副業解禁の波がやってくるでしょう。
そのときに慌てることがないように準備をはじめてもいいのではないでしょうか。